『国をつくるという仕事』( 西水 美恵子、英治出版) をよみました。
この本、日経の読書欄で紹介されてはじめて知りました。前・世界銀行の副総裁が日本人女性だったのですね。
西水さんは、高校までは日本の学校を出て、その後はずっと海外なのだそうです。
日本のレジャーランド大学をみたら、お金払ってまで行く意義を感じませんものね・・・。世界に通用するわけでもないし。「日本で通用しないやつが、世界で通用するのか」なんて言葉もあるけれど、こと大学教育についてはどうでしょうね・・・。
本書をとおして、彼女の凛とした姿をよみとることができます。どんな思いで世界の発展途上国とかかわってきたのか。どのようなビジョンをもっているのか。
ただ、雑誌のコラムを集めたということもあり、各項目が短く詰め込まれた感がただよい、そこがもったいなかった。本書では、ことあるごとに「リーダーシップの問題」に帰結するけれども、そのリーダーシップそのもののありかたが、いまや多様に変化し、数多の人々は同じ水平線上にいることが明らかななかで、「リーダーシップ」という言葉そのものにむなしさがひびきます・・・。「われこそは」のリーダーシップなど、求められていない。名誉に群がるリーダーシップなど、求められていない。
リーダーシップなのか、エクセレントなのか。今後、西水さん自身が示していくのでしょう。
いずれにしても、未来あるこどもに、そして、これからの女性に、だいすきなひとに、贈りたい、読んでもらいたい一冊であることはまちがいありません。みなさんも、ぜひ読んでみてくださいね。
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【前・世界銀行副総裁が語る リーダーシップの真実】
貧困のない世界を夢見て・・・23年間の闘いから見えてきたもの
◆はじめて訪れたエジプトの貧民街。少女ナディアが自分の腕のなかで息をひきとったとき、自分の人生が決定的に変わった――。貧困や悪政と闘いつづけた23年間。それは、この世界を変えたいと願う、あらゆる職場のリーダーたちと共に歩んだ道のりだった。農民や村長、貧民街の女性たちや売春婦、学生、社会起業家、銀行家、ジャーナリスト、政治家、中央銀行総裁、将軍や国王に至るまで・・・「国づくり」の現場で出会ったリーダーたちの姿を、前世界銀行副総裁が情感込めて語った珠玉の回想記。
◆著者・西水美恵子氏は、女性としても日本人としても初めて世界銀行地域担当副総裁となった人物。貧困との闘いにおける各国各地域のリーダーシップを支援。自ら貧村にホームステイを行うなど、つねに「現場」に根ざした「国づくり」を推進してきた。また、世銀の内部でも組織改革に取り組み、その手法はピーター・センゲ教授はじめ経営学界で高く評価されている。
◆雑誌『選択』好評連載「思い出の国、忘れえぬ人々」(2005年1月~2008年12月)待望の単行本化。
◆解説・田坂広志氏(社会起業家フォーラム代表、多摩大学教授)・・・「読み進めながら、何度も、胸が熱くなり、読み終えたとき、深い感動と、静かな余韻が訪れる著作。そうした著作に巡り会う経験が稀有になってしまった時代。この著作に巡り会えたことに、感謝をしたい」(「解説」より)
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