2007年2月アーカイブ


 高杉良『労働貴族』(講談社文庫)を読みました。

 日産の労働組合の委員長、塩路一郎は、労働者の代表という立場でありながら、豪華クルーザーで女性と過ごしたり、銀座で女性を侍らせたり、品川区に7LDKの自宅には、組合所有のプレジデントとフェアレディZ2台もあるという。彼曰く、「労組の代表は、役員と同等の待遇であるべき」という。

 その日産の社長石原氏が、この塩路氏の反対・妨害にあいながらも、生産拠点の英国進出を果たすまでの道のりを描いています。

 本書は、「記録小説」という名を用いていますが、小説というよりドキュメンタリーという感じです。筆者の著書すべてにいえますが、小説としての面白さよりも社会勉強のための本という印象です。経営権や事前協議制について、労働組合の存在について、考えるいい材料になりました。

 ジャン・グリシャムの『The Firm』を読みました。(ペンギン・リーダーズだけど) 映画をそのまま本にした感じのいまっぽい小説です。わたしは純文学のほうが好きなのですが、純粋にモダン・イングリッシュの勉強のために読みました。
 なので、文体そのものの美しさは感じられないです。いまそういう小説は求められていないみたいですけどね。

 グリシャムの小説は、弁護士ものが多いので使われる単語が難しいと思い込んでいたのですが、あっさり読めました。構文もやさしいし。センター英語級かな・・・。ペンギン・リーダーズのレベル5は、2000語レベルですからちょうど大学受験くらい。ロングマン英語辞典(LDOCE)も説明は2000語と言われていますから、英英辞典の解説が読めるくらいなら読めそうです。

 ペンギン版なら100ページくらいなので1日で読めちゃいます。

「苦学の末、ハーバード大学ロースクールを優秀な成績で卒業した野心満々の青年、ミッチ。彼が就職したメンフィスの名門法律事務所は、過酷な労働の対価として、破格の待遇を用意する。恋人とともにバラ色の人生を予感するミッチだが、名門法律事務所の背後には暗黒の世界が広がっていた。ジョン・グリシャムの名を世に知らしめた最高傑作。」(amazon.co.jp内容紹介より引用)

 グリシャムは、弁護士事務所に勤めながら、朝5時にオフィスについて小説を書くのを日課にしていたとか。童門冬二みたいな感じかな・・・。わたしももっと早く出社して毎朝勉強しようと思いました。(^^

Penguin Readers Level 5: "The Firm" (Penguin Readers)

ペーパーバッグ版(432ページ)

●たまっているペーパーバッグが片付いたら、これを読もうと思います。(備忘録です・・・)
 ・Cry the Beloved Country, Alan Paton, Scribner
 ・ペンギンリーダーズ版も。

 このところ、風邪で調子が悪く、ずっと布団のなかにいました。
その時間を使って、パール・バックの 『The Child Who Never Grew』を読みました。110ページほどですが、ここ2日かけて・・・。

 パール・バックの娘であるキャロル・バックは生まれながらに知的障害があり、パールは娘の将来を案じる。キャロルをさまざまな病院に連れて行き、そしてさまざまな施設を見学し、キャロルの終の住処をようやくみつける。本書ではここまでの経緯を記したものです。

 のちにキャロルはフェニルケトン尿症(phenylketonuria:PKU)であることが判明します。フェニルケトン尿症は代謝異常を引き起こし、早期に対処しないと精神遅滞につながる・・・。現在は、早期治療により精神遅滞を防げるという。本書のなかでは、パールが中国育ちのため、東洋と西洋の障害者観の違い、家族主義と個人主義について対照的に描かれています。また、この頃は大型のコロニーに入れる時代であり、現在のようなdeinstitutionalization(脱施設化)によるグループホームもなかった。本書は、当時のライフヒストリーという意味でも読む価値はあるでしょう。

 単語はそれほど難しくなかったのですが、倒置や破格の連続で、いくつか文構造をつかめないまま読み進めてしまいました。じっくり考えれば構文を取れるとは思うのですが、読むスピードが落ちるので・・・。まあ、それでなくても深く考えないと意味がつかめないセンテンスもありました。

 ここ数年、文字に頼らず耳で英語を理解できるようにしたかったので、ペーパーバッグを控えていました。そろそろ再開しよっと。いまはJohn GrishamのThe Firmを読んでいます。(ペリカンブックなので縮訳版ですが)


■Wikipedia:フェニルケトン尿症

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