あけましておめでとうございます。
いつも本ブログをご覧いただきましてありがとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ごあいさつのかわりに、わたしの大好きな本を紹介します。
『晴れた日には希望が見える―全盲の大臣と4頭の盲導犬』(デイヴィッド・ブランケット、朝日新聞社)
メールマガジンなどでもご紹介したことがあるので、すでにご存知の方も多いと思います。本書の著者デイヴィッド・ブランケット氏は、英国の元教育技能省の大臣であり、英国史上初の全盲の大臣として有名です。残念なことに、私が英国視察に行った頃に、スキャンダルがらみで失脚しましたが・・。
それでも、彼の半生は敬服すべきものであり、読むものに勇気と希望を与えてくれます。彼のつきあってきた4匹の盲導犬とのエピソードやハプニングも微笑ましく描かれています。地方議会や国会だけでなく多くの公式行事も盲導犬と行動をともにし、盲導犬が議会を走り回ってしまったり、子どものアイスを食べてしまったり・・・。そして、全盲の彼を支えた多くの人々との出会いについても。彼を受け入れる市民社会の懐の大きさ、彼自身の努力についても。
わが国でも、これだけの支えと、懐の大きさがあれば・・・。視覚障害者である麻原彰晃がオウム真理教をつくり、社会に反目したこととは明らかに対照的に映ります。このふたりは何が異なり、何が同じなのでしょうか。ふたりを生み出した社会背景は何が異なるのでしょうか。
●松下政経塾15期生 平島廣志氏のレポートにも書評がありました。
http://www.mskj.or.jp/getsurei/hira9804.html
●原書はこちらです。オーディオブックもあります。
"On a Clear Day", David Blunkett, Alex MacCormick,Michael O'Mara Books
●むかし書いた書評もつけておきます。
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読後日記『晴れた日には希望が見える』
http://www.citizenship.jp/
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イギリスの教育雇用省デイヴィッド・ブランケット大臣をご存じでしょうか。
「シティズンシップ教育に関する諮問委員会」委員長バーナード・クリック氏
とともに、シティズンシップ教育を中等教育の必修カリキュラムに導入した
立て役者です。
デイヴィッド・ブランケットは、1997年春、イギリス労働党による
ブレア政権の誕生と同時に、イギリス史上はじめての全盲の閣僚として教育雇
用相に就任しました。このディビッド・ブランケット氏の半生を綴った書が、
『晴れた日には希望が見える―全盲の大臣と4頭の盲導犬』です。
彼の生まれたシェフィールドは、公営住宅が多く、裕福とはいえない土地柄
です。彼はこの町で育ち、働きながら夜学に通い大学に進学しました。この地
域では、半径2マイル以内ではじめて大学に行く人間であったとも書かれてい
ます。全盲でありながらも、勤労学生として大学を出た意思の強さに感心して
しまいます。
在学中に、市議会議員に当選し、やがてはイギリス下院議員となるまでの
過程、彼とともに歩んだ四頭の盲導犬、ルビー、テディ、オッファ、
ルーシーの物語を、ユーモアを交えながら綴っています。
この大臣の前向きな人生を読んで、私は彼を大好きになってしまいました。
バーナード・クリック博士とはシェフィールド大学政治学科で出会い、それ
以来の親交を続けているとのことです。クリック博士の一癖ある人柄と、
シェフィールド大学で起こした大騒ぎなどは微笑ましくなるエピソードに
なっています。
ときおり、政治や教育に対する考えも交えられており、たいへん勉強になり
ます。政治に関心がある方だけでなく、教育に携わる方、福祉に関心のある方、
動物好きの方、そしてなにより、未来を担う子どもたちに読んで欲しい一冊
です。
「今日の政治が抱える問題点の一つは、政治家が論理的な討論によって反対派
を納得させようとせず、ひたすら相手を攻撃する言葉の応酬を繰り広げている
ことだろう。自分の言葉に確信を持てないまま話している政治家は、テレビで
見れば一目でわかる。そのせいでシニカルな見方が広まり、民主主義が不評を
買うことになるのだ。」
『晴れた日には希望が見える―全盲の大臣と4頭の盲導犬』
デイヴィッド・ブランケット著 高橋佳奈子訳 朝日新聞社
http //www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022572256/citizenship-22
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