口述試問が終わりました。

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 ようやく口述試問が終わりました。「こんなの政策論文じゃない」と怒られるかも・・・とビクビクしつつの出席でした。9月卒業は私ともう一人しかいなくて、それぞれ別の部屋で、別の先生方のなかで試問を受けました。

 論文タイトルは、
「わが国におけるCitizenship Educationの導入の可能性について-英国の事例との比較分析から-」

 全体的な論文の趣旨や、研究内容を述べたあと、恐怖の質問です。あまり寝ていなかったので、受け答えはしどろもどろで支離滅裂でした。(; ;)

●まず、3点。
 1.日本の品川区における市民科の導入理由について、もっとも大きな理由を説明せよ。
   また、それは英国の影響を受けているものかどうか。
 2.ブレア政権下におけるCitizenship Educationの導入のもっとも大きな理由は何か。
 3.わが国におけるCitizenship Educationの導入の可能性として、国のカリキュラム、自治体、
  学校、その他、どこが主体となるのがよいか。それぞれのメリット、デメリットをどう考えるか。

●次、政治学の観点からの質問、爆発してしまってメモがない・・・。(* _ *)
 日本の場合は55年以降、一貫して(基本的に)保守政権で、英国では保守党から労働党への政権交代があったが、このようななかで、どのような政策インプリケーションがあるか。・・のような内容だったと思います。
 このへんは、頭の中が錯綜していたのですが、「現在、導入している自治体はどちらも新自由主義改革に基づくもの」というコメントを先生からいただき、私のなかのポリティカル・コンパス(保守とか革新とか・・そういうやつ)が崩壊しました。(; ;) ここはもっと勉強しないとだねえ。中途半端に書くと恥じ書くので論文でも逃げました。(議論が錯綜するのも避けたかった・・・。)

●次は、労働政策の先生からです。
 本研究科の論文は、
 1.先行研究
 2.実態調査
 3.政策提言
 の3つから構成されるが、それぞれについて、あなたの研究ではどうなっているか、どのように考えたか、などを説明しなさい。

・・・・・だったかな、と思います。このほか、感想やお言葉のなかで、雇用政策のなかで考える「能力」(=たぶんアビリティ)は、①ナレッジ、②スキル、③アチチュード(コンピテンシー)があり、イギリスの学校カリキュラムはNVQ(職業能力評価)制度の影響を受けているとのこと。日本の教育カリキュラムよりも、スキルを強調するのは職業カリキュラムからの要請が強いからなのですね。
 英国の職業教育カリキュラムはそれぞれの産業分野ごとに段階によって目標設定がなされ、どのようにキャリアを育成すればよいか、どのように評価すればよいかが明確になっています。

 このようなシステムは教育学の見地から見ると奇異なものに映るかもしれない。しかし、キャリアディベロップメントの視点からみれば当然のことであると先生は言います。私の論文は教育学とその他の視点とのジレンマが見られて面白かったとのことでした・・。つまり未整理だったということなんだけど・・。

 わが国の教育で目指されている「生きる力」も、スキルやアチチュードであるといえるので、テストではなく観察による評価が必要である、とも。日本の教科教育は、学問の各分野の専門家からの要請、水準を満たすために作っているから、知識・理解のほうに傾いてしまう。

 日本の教育評価だと、評価の観点は「知識・理解」「思考・判断」「関心・意欲・態度」「技能・表現」に分かれていて、一見同じように見えるのですが、「技能習熟」ばかりを求めるのは教育的でないと考えられる風潮があります。学習の順序としても、「関心・意欲・態度」がまず先で、「思考・判断」の探求を行ったのちに、「知識・理解」に落とし込む。反復による「技能領域」は、「教え込み」であるとし、教育界にはある種のアレルギーがあります。反復練習の非人間性というか、戦時教育への反発というかそういう面もあるようです。

 ・・・最後は脱線しちゃいましたが・・・。「もし、評価が低くて紀要に載らないことがあったら、他のところに紹介してあげるから、僕のところに送ってください」と某先生に言われました。(ただし、きちんと書き直してから(笑)) ・・・書き方がアカデミックでないと注意されました。ジャーナリスティックになってると・・。どうもみんなに読みやすいように書きたい職業病があって、口語と文語の中間で書く癖がついてしまって抜けません。職場で使っていた表記の手引きレベルで書いてるから・・。そうすると助詞や助動詞はひらがな表記になってしまう・・。まあ、言い訳なんだけど。

 最近はしかも、英語(とくにTOEIC)ばっかりやってて、あんまり政策の用語が浮かんでこないのですー。

◆◆ちなみに、ご興味ないとは思いますが、目次を載せておきます◆◆


目次

序論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

第1章 社会の変化と日本の教育における状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
 1.社会状況の変化 (9)
 2.若者の社会参加をめぐる状況 (9)
 3.日本の教育において指摘されてきた課題 (10)

第2章 わが国における社会科の系譜とCitizenshipの教育をめぐる新しい動き ・・・・・12
 1.わが国における社会科の系譜 (12)
 2.わが国におけるCitizenshipの教育をめぐる新しい動き (19)

第3章 英国の教育改革とCitizenship Educationの導入過程 ・・・・・・・・・・・・29
 1.英国の教育改革 その背景と動向について (29)
  1.1サッチャー改革以前 (29)
  1.2サッチャーによる教育改革 (30)
 1.3ブレア政権下における教育政策 (31)
 2.Citizenship Educationの導入過程分析 (32)
  2.1導入の経緯について (32)
  2.2 CitizenshipとSocial Studiesの変遷 (33)
  2.3 Citizenship Educationの必修化 (34)

第4章 英国におけるCitizenship Educationの事例-その内容と組織体制- ・・・・・・35
 1.教科の概要 (35)
 2.中等教育における実施状況 (40)
 3.初等教育における実施状況 (45)
 4.教員養成について (46)
 5.非営利組織との連携について (47)
 6.見えない学力を見る評価-コースワーク評価- (51)

第5章 Citizenship Educationの導入,その成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・56
 1.英国における現状と課題 (56)
 2.Citizenshipの理念そのものの意義 (56)

第6章 わが国における教育の今後の改善にむけて  ・・・・・・・・・・・・・・・・・58
 1.カリキュラム策定の主体について (58)
 2.学習の改善にむけて (59)
 3.おわりに (60)

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このブログ記事について

このページは、Masahiro Ohkuboが2007年7月14日 13:24に書いたブログ記事です。

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