以前に「国策捜査」についての本の話を書きましたが、「国策報道」らしきこともかなりありますね。
つい先日から火がついた、一部の高校における「未履修科目」の問題については、教育改革への世論を高めたい、との意図からでしょう。 具体的には、英国で行われているような学校評価・監査システムを導入するためです。「国が教育の責任を持つ」ために達成目標を設定し、 それにむけて管理をする。いわゆるPlan-Do-See-Actionのサイクルを導入したいということです。
いじめによる自殺の問題もそう。これまでもいじめによる自殺があったとしても報道は控えてきた。単にモミ消してきた。 政府も現場も報道もみんなで目をつぶってきた。そう、「みんなでわたればこわくない」国だから。
しかし、いまになって報道がなされるのは、明らかに「教育改革」への意図がみえます。
教育基本法が変わればいじめがなくなるなんて教育プロパーの人間なら誰も思ってはいないけれど、
世論は教育改革の動きとして受け止めることでしょう。
英国の教育システムを調査してきたものとしては、日本でも同様の学校監査システムは必要だと思います。
達成目標もない学習指導要領も改めないといけない。達成目標がなければ政策評価ができませんから...。しかしこれらは、
教育のミニマムスタンダードに止めないといけない。地域の裁量をみとめ、地域にふさわしい教育を上乗せしていくことが大切でしょう。
一部のなまけもの教師をなんとかしないといけない、保護者や市民の意見を反映できるようなシステムにしないといけない、
といった教育改善に異論がある有権者はひとりもいないはずです。
しかし問題なのは、これらの教育改革のなかに必要以上にイデオロギーを持ち込んでいることです。
有権者としては、いずれにしてもバランスよく判断しないといけませんね。(あえて「国策的リーク」というタイトルにしてみました。)
●「国策報道」という単語で検索すると、こんなサイトやこんなサイトがありました。
・「非国民通信」
http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/1c5e406af4ff134dd9dd19b7538cd1bb
・NHK vs. 朝日新聞「番組改変」論争「政治介入」の決定的証拠(魚住昭 月刊現代)
http://www.news-pj.net/siryou/nhk-bangumikaihen200509.html
・Wikipedia 「プロパガンダ」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%91%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80
・ 『写真の歴史入門―第3部「再生」戦争と12人の写真家― 』 (鈴木佳子著・東京都写真美術館・監修、新潮社)
国策プロパガンダと報道と表現と……。写真家たちは戦争をいかに生きたのか?
国策報道の渦に飲み込まれながらも、木村伊兵衛は最前線で撮り続ける道を選択した。 時代に背を向け雪深い新潟の山村の生活を記録し続けた濱谷浩は、敗戦の報を聞き、衝動的にギラつく太陽を写真に収めた。 15歳で敗戦を体験した東松照明は、その後、米軍基地に目を向けていくことになる――。貴重写真満載のシリーズ第3弾。
・ 『プロフェッショナル広報戦略』 (世耕弘成著、ゴマブックス)
・ 『自民党改造プロジェクト650日』 (世耕弘成著、新潮社)
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