「官邸主導」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。言葉のとおり、官邸が主導する・・・のです・・・。(怒らないで・・)
これまで、(各省庁が、族議員や関係団体も含むステイクホルダーを代表して、予算取りなどを争い合う)個別省庁の利害関係の争いによって、
政策形成・決定がなされてきました。(といわれてきました) このような政策過程では、最初はうまい政策でも、各省庁の利害調整の末、
とても薄まった味気ないものになりがちです。(といわれてきました・・(汗))
こうなってしまうと、政治(与党)も黙ってはいません。橋本政権では、「財政構造改革会議」によるトップダウン構造を作りました。
小渕政権でも、「経済戦略会議」「産業競争力会議」を官邸におきました。森政権では、「経済財政諮問会議」ができました。徐々に、
トップダウンの政策決定・形成ができるしくみをつくってきています。本書
『官邸主導 ~小泉純一郎の革命~』(清水真人、日本経済新聞社)は、その過程を克明に記しています。
このようなトップダウン構造は、経済政策だけに止まりません。官邸主導の外交を描いたものに、『官邸外交 ~政治リーダーシップの行方』 (信田智人、朝日新聞社)が、あります。有事法制やテロ特措法の成立や、イラクへの派兵など、 迅速な政治判断と決定をなしえたのは、このトップダウン構造があるからです。「小泉ファッショ」という批判もありますが、 これまでなしえなかった改革を遂げることができるのは、このような仕組みがあるからにほかなりません。
「じっくり審議すべき問題」と「迅速に決定すべき問題」に区別しながら、その決定過程も使い分けるセンス。 このような政治システムにおいて、もっとも重要な役割を示すのが、「投票」と「世論」です。これまでなしえなかった、 政策決定を投票によって決めることができます。しかし、一方、いったん圧倒多数の議席を得てしまうと、 他のイシューに有権者や他党が異論を述べることができなくなる危険性があります。そこで大事なのは世論(世論形成)です。 官邸主導の状態では、与党内の他派閥でさえ、ストップをかけられない。ストップをかけられるのは、首相(与党)支持率のみです。
そこで、マスコミやNPO/NGOなどによるアドボカシーが生きてきます。より説得力のある訴えが有権者に届けば、 政権にブレーキをかけられます。そして、そのアドボカシーを受け取る側(市民)のリテラシーも問われますね・・・。
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