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<すき家>残業代未払い問題で書類送検へ 仙台労基署

 
 牛丼チェーンの「すき家」は、いわゆる「アルバイト」を使わず、一人一人の店員と業務委託契約を交わしているとのこと。つまり、個人事業主にさせて、社会保険料や労災費、残業代等を浮かせている。

 アルバイトでも週40時間ほどの勤務になると、正社員のような社会保険加入義務が生じる。(ただし、短期の場合はOK)  そこで、ふつうの企業はシフトを組んで、それぞれのバイトさんには週3日くらいで働いてもらうようにしている。
・・・なので、業務委託契約にしたからといって、実際には「社会保険費を浮かせる」というほどのうまみはない。・・・はず。せいぜい労災費の支払いくらい。業務委託契約にすれば、労働者としてみなす必要がなく、おカミに労災費の計上をしなくて済む。

 ただ、もう少し条件を変えてみると、やはりうまみがある。アルバイトなら週40時間働かせると社会保険に加入させなければならないし、1日あたり8時間を超えると割増賃金を支払わなければならない。一方で、業務委託契約なら週40時間働かせても、「外注扱い」だから社会保険への加入も必要ない。1日に8時間以上働かせても、割増賃金を支払う必要がない。(残業代すら払わなくてもよい、ということもいえるが、それではおそらく働き手がいないはず・・・。いや、今回は、残業代の未払いなんだけど・・。そこまでセコいことするか。)

 いわゆる労働者として働く場合には、民法上の「雇用契約」(労働法上の労働契約)というものに該当し、使用者は労働基準法をはじめとする労働各法を守らなければならない。労働者は、労働各法の保護のもとにある。

 その一方で、ここで紹介した「業務委託契約」の場合、民法上の請負契約もしくは委任契約(くわしくいうと準委任契約)に位置づけられる。どういうことかというと、働かせている会社側は「発注者」であって、労働法でいう「使用者」にはあたらない。働いている「バイト」は「受注者」であって、労働法上の「労働者」にあたらない。・・ことになる。

 「使用者」「労働者」の関係にないことがみとめられると、どういうことができるか。・・というと。

 ・会社側の都合によって、いつでも首を切ることができる。
 ・残業をさせても、割増賃金を支払わなくてもよい。・・・もっといえば、残業代すら支払わなくてもよい。
 ・労災費や社会保険費等を節約できる。
 ・バイトが怪我、もしくは死亡しても、基本的には補償しなくてよい。(無過失責任の逃れられる)

 ・・・などの会社側のメリットがある。

 労働各法は、労働者保護のためさまざまな義務を使用者側に課しているが、それらのほぼ全てを逃れることができるからだ。

 ・・・でもね、よのなか、そんなにうまいようにはできていない。

 このような見ための「業務委託契約」「請負契約」でも、実質的に「労働契約」といえるような条件が揃えば、労働法の適用がある、とされている。これまでは判例上の解釈でそのようにみなされてきたが、今年3月に施行された労働契約法にこのことが明記されるようになった。。(第2条第1項)

 つまり、「請負」や「委任」という形式をとっていても、実態として、使用者の指揮・命令のもとに働き、その報酬として賃金を受けていれば、「労働者」になる。

 個人事業主であれば、好きな時間に仕事をはじめて、契約上の成果物を作成し、出来上がればそれで仕事を終えてよい。「いつ始めて、いつ終わってもよい」、「作業中の指揮・命令」を受けることもない。 
 だけれど、「すき家」のバイトのようなものは、店長の指揮・命令のもと、タイムカードを打刻して、事実上の時間管理もなされる。日々の牛丼づくりについても、さまざまな「指導」を受ける。
 ・・・なので、「使用者」と「労働者」の関係にあることは、ほぼまちがいない。

 じつは、このような「雇用逃れ」「偽装雇用」というものは古くから行われていて、裁判上で争われるたり、行政指導がなされたりすることも多い。

 わたしのよく知っている会社でも、そういったことが横行している。正直なところ、「そこまでして儲けたいか?」「そんな商売していて楽しいか?」という気持ちだ。

 さっさとそんな企業には消えて欲しい。一時的には、働いてるひとが職を失い、傷つけてしまうことになるだろうが・・・。やはり、存在している時点ですでに法令違反だもの。

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<すき家>残業代未払い問題で書類送検へ 仙台労基署

12月6日10時57分配信 毎日新聞

 外食産業大手・ゼンショー(本社・東京都)が展開する牛丼チェーン「すき家」の残業代未払い問題で、仙台労働基準監督署は、仙台市泉区の店舗で働くアルバイト3人に時間外労働分の未払い賃金があるとして、会社と賃金担当役員を労働基準法違反(賃金の不払い)容疑で近く仙台地検に書類送検する方針を固めた。

 調べでは、ゼンショーは06年、数回にわたり、元スイングマネジャー(実質的店長)ら22~41歳の男女3人に、残業や休日出勤などの時間外労働分の割増賃金計十数万円を支払わなかった疑い。

 3人は昨年10月、割増賃金の支払いを求めたが会社側は拒否。加入する労働組合「首都圏青年ユニオン」を通して、東京都労働委員会で行われた協議で、会社側は「3人との契約は業務委託契約で労働契約ではない」「うち1人は実質的店長で管理監督者のため時間外手当は発生しない」などと主張した。

 3人は今年4月、仙台労基署に刑事告訴。同月にはゼンショーに対して05年9月~06年10月の残業代などの支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。【比嘉洋】

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(『<すき家>残業代未払い問題で書類送検へ 仙台労基署』12月6日10時57分配信 毎日新聞 より)


<参考資料>
●『<すき家>残業代未払い問題で書類送検へ 仙台労基署』12月6日10時57分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000027-mai-soci


●『牛丼に託した「革命」の夢ゼンショー、フード業世界一に向けて新ステージへ』2008年1月31日 木曜日日経ビジネス・オンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080128/145582/

●厚生労働省「労働契約法がスタート! ~平成20年3月1日施行~みんな、フェアプレーでいこう!」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/index.html

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