『ひとりぼっちの私が市長になった! 』
『ひとりぼっちの私が市長になった! 』(草間 吉夫、講談社)を読みました。
茨城県高萩市長 草間吉夫氏は、生後3日で乳児院に預けられ、その後児童養護施設で育つ。東北福祉大で福祉を専攻し、松下政経塾に入塾。卒業後は児童養護施設の職員などを経て、自身の育った臨海学園のある高萩市の市長に。
本書は、自身の半生と、児童福祉の実情、先進国での事例などが盛り込まれています。施設で育った一人の人間に引き寄せられながら、福祉政策をどう改善していけばよいかへとつながっていく。
とくにカナダの事例については、わが国との違いもよくわかり、勉強になります。キリスト教圏とは福祉も学校教育も成り立ちが違いすぎて、同じようにはできないかもなと思いつつ、日本も見習わないといけないと思うこともしばしば。
日本の社会福祉施設は、地域の篤志家によって創設される同族経営であるが、欧米では教会を中心に発展したためパブリックな性格をもっているという。このような生い立ちの違いのせいで、わが国の福祉施設は、地域の人々からは遠い存在であり、触れ合う機会も少ない。とくに児童養護施設は、そこが何の目的の施設であるかも理解されず、周囲からの偏見もいっこうになくならない。
カナダでは、自らの体験を語り合う「スピークアウト」という活動があるそうです。わが国にも必要かもしれませんね。
●松下政経塾 草間吉夫氏のプロフィール(論文なども載っています)
http://www.mskj.or.jp/profile/kusa.html