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国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

  ホリエモンの逮捕の騒ぎがあってから、「国策捜査」について調べてみたくなり、いくつか本を読んだりしています。 表題の 「国家の罠 ~外務省のラスプーチンと呼ばれて」(佐藤優著、新潮社、2005年)も、国策捜査に関する本のひとつです。

 「これは国策捜査なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は『時代のけじめ』 をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです」
 「見事僕はそれに当たってしまったわけだ」
 「そういうこと。運が悪かったとしかいえない」
 「しかし、僕が悪運を引き寄せた面もある。今まで、普通に行われてきた、否、それよりも評価、奨励されてきた価値が、 ある時点から逆転するわけか」
 「そういうこと。評価の基準が変わるんだ。何かハードルが下がってくるんだ」

(p.287)

 いま、規制緩和の流れによって、司法制度をめぐる状況も大きく変わってきています。事前規制型の政策から、事後告発・ 一罰百戒型の規制は緩やかであるが、何かしでかしたら誰か一人を大きく罰して戒めるような形になっています。
 ホリエモンもその犠牲者のひとりでしょう。金融庁はOKを出しているのに、検察はNOという。国策捜査の対象となるのは、「社会的成功者」 のみ・・・。

 高杉良の小説 『不撓不屈』は、国税庁と税理士飯塚毅との係争の実録小説です。実は、私の父(もういないけど)も、 同様の事件で国税庁と長い係争があり、私の父がモデルになっているのかと思って、びっくりして買いました。・・・でも、 ちがいました。 こちらはTKC全国会の創設者なのですね。同じIssueで、国家権力と争って、勝った人と負けた人・・・ という感じです。

 いずれにしても、国家権力が「事件を創り出し、社会秩序を操る」手段として、司法制度を活用することがあります。 長く苦しいたたかい・・。
 「国家の罠」は、国策捜査の存在について、多くのひとにその意味を投げかけています。

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